Comment lui dire

アラビアンコースト

メリー・ポピンズ 2018/4/9S @シアターオーブ 大人だからこそ心に響くファンタジー。

オーブはあれっすね…去年のロミジュリで間違えて行ったとき以来ですね…(悲しい思い出)

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グッズがすごく可愛いんだけどお金がなくて買えませんでした(白目)
哀れんでくれよ…金がないんだ…



まずはじめに、私はディズニー版のメリーポピンズがあまり好きではない。
というのも原作が大好きだからである。原作は「メリー」じゃなくて「メアリーポピンズ」なのだが、映画版とは違って全然チャーミングじゃない。クールで自信家ですぐに機嫌が悪くなる。だけどここぞというときには助けてくれる、そんな存在。わりと現代的なツンデレの要素が詰まったお姉さん。
厳格な彼女がくれる味が変わる咳止めシロップには子供なら必ず憧れを抱くはず。
原作が持つ単純な「遊び心を忘れてしまった大人たちへのメッセージ」は子供心にも強く響いた。

ところが、ディズニー映画版は舞台になった1910年代の時代背景がかなり色濃く写し出されていて、バンクス家のお母さんは女性参政権運動に熱心になりすぎるあまり子供たちの面倒を見る時間がない。そこでメリーポピンズが子守りにやってくるという設定だった。家庭を顧みない父親と解放活動家の母親とそんな両親を見てきた子供たち。ぎくしゃくした家庭をメリーが再生させる、家族再生の物語になっている。
一方ミュージカル版のお母さんは専業主婦で自分の好きなこと(前は女優だった)も辞めて夫に尽くして子供たちを育てている。だけど仕事一筋の夫と言うことを聞かない子供たちに振り回されて自分の居場所を見失っているという設定に変更されていて、より現代的な女性の悩みを象徴しているのかなと想像できる。参政権のような形式的に与えられる権利の段階ではなくて、実質的な地位の話なんですね。
お父さんはお母さんを愛しているけれど、銀行をクビになるかどうかの瀬戸際で一緒に会社に行くというお母さんに「出てくるな」と言う。「お父さんは言いたいことを(会社に)言えないのはなぜ?」という問いにお母さんは「男だから」と答えるし、「お父さんはなんでお母さんにダメって言うの?」と聞かれたら「女だから」と答える。
長い歴史で培われたジェンダーの役割の前では形式的に与えられた平等はあまりにも脆い。男女関わらずに一生に一度は経験する自分ではどうすることもできない偏見という見えない壁がそこには存在する。
そんな風に悩むお母さんに子供たちは「メリーはどんなことでもできると言っていたよ」と言って、メリーは「自分が邪魔しなければどんなことでもできる」と励ましてくれる。まさにメリーは現代社会で偏見に苦しみ自分のやりたいことを我慢してきた人間たちの背中を後押ししてくれる象徴的な存在なのだなとこのシーンで考えた。
お母さんが言うようにお父さんも悩んでいて、本当はもっといい人になりたい。お金を持っているからって嫌なやつには融資したくないし、お金がなくても信用できる人に融資したい。でもいち銀行員として、自分の意見を貫き通すわけにはいかない。そんなお父さんの背中を後押ししてくれるのはやっぱりメリーと子供たちだった。

この物語は、自分が本当にやりたいことを貫き通したら全部いい結果に物事が進んで、お父さんは出世するしお母さんは自信を取り戻しバンクス一家は思い描いていたような理想の家族に生まれ変わるというハッピーエンドになるけれど、現実はそう上手くは行かない。カーテンコールで登場人物たちが満面の笑顔で踊るスーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスから幸せな気持ちを貰ったあとにふとせつなくなる、そんなミュージカルなのだ。


メリポピで一番好きなのは「お砂糖ひとさじで」という曲なんだけど、パークでもよく流れているし聴けば誰もが思い出す曲だよね。ついつい口ずさんじゃう楽しい曲です。


◎平原メリー

平原さんミュージカルで観るの初めてだと思うんだけど、すごくジュリー・アンドリュースのイメージに近いチャーミングなメリーでした。
SOMの吹替聴いたときはマリアには合わないな~と思ったんだけどディズニー版のメリーにはよく合うね。かわいいし。


◎柿澤バート

幸せなかっきーを見るのがそもそもド久しぶりなので本当によかったね…死ななくて…という切実な気持ち。
気さくで愉快な柿澤バートだけどメリーと出会う前に何か辛い過去がありそうな雰囲気があるのはさすがかっきーという感じである。
逆さタップはあれアリスのエルガトナンバーからの輸入でしょ???(違う)

◎山路パパ

超 か わ い い


私山路さんの声大好きなんだよね…
普段のニヒルさが一転して慌てたときの声の裏返り方とか。
えっファミパンおじさん?その話はやめうわなにする


◎花代ママ

超 か わ い い

柔らかさの中にある芯の強さが花代さんにピッタリだと思った。普遍的な女性の悩みに共感してそこから抜け出そうと決意を決めた姿に思わず涙腺が緩む。しかし花代さん本当にかわいいな。



◎もう中ロバートソン

こ、この役…小野田もやるの…?(そこ)



ところで終演後にミスアンドリューがほのかさんだったことに気付きました(ポンコツオブポンコツ
めぐメリー大貫バート小野田ロバートソン観たいし追加しようか迷ったけれど、まあ…うん…箱が日生なら追加してたかな…