Comment lui dire

アラビアンコースト

レ・ミゼラブル 2019/4/21M @帝国劇場

万年レミゼ初心者の私、いつになったらレミゼ初心者を脱却できるのか???と思いながらレミゼを見続けて早8年。未だにレミゼ初心者なんだなこれが。
今季はのんびりしていたらチケット2枚しか取れなかったのであと1回しか行けません。チケット弱者の千秋楽は早い。



レミゼにあまり私がハマれない理由を一つ挙げるとすれば、
「見るたびにボロボロに泣いてしまい俳優の演技や歌や物語を楽しむ余裕がない」


マジでこれなんだ。
本当は嗚咽をあげて泣きたいくらい泣けるんだけど、周りに迷惑なので静かにダラダラ涙流してます。親が子を命と引き換えに守るというシチュエーションに弱くない人はあまりいないと思いますが、親子愛に限らずとも自分の命を賭けられるくらい大切な存在があるということは幸せなことなんだと噛みしめます。陳腐で単純な言葉だけれど、愛の力って偉大だよね。


何度見ても思うのだけど、この物語哀しすぎません??
ジャベールに至っては何十年も追い続けてきた悪人だと思っていた男に赦されて、今まで正義の名のもとに人を追い詰めてきた自分が赦されたことに耐え切れずに自殺するってどれだけ哀しいんだろうか。

生きてさえいればやり直せるチャンスはあるんだって金田一も言ってたじゃん…(突然の金田一)
まあ死ぬことより生きることの方が辛いこともある…って言っちゃった犯人もいたけどさ…


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◎人を赦すということと、赦しを受け入れること

今まで観るたびにボロボロに泣いて物語について真剣に考える余裕がなかったんだけど、
この物語が伝えたいことって、やっぱりキリスト教精神に基づいた『罪の赦し』と『他者への慈愛』なんでしょうか。

バルジャンはたった一度のパンを盗んだ罪によって投獄されて20年間も辛い思いをした。
たった一度犯した罪のために、人生をやり直すチャンスが失われてしまうのは今の時代も同じで、罪を犯してしまった人に対して世間はあまりにも冷たい。人を赦すということは至極難しく、罪を犯した人を自分たちの不満のはけ口にすることはあまりにも容易い。
マリウスは最後にバルジャンを聖者だと称賛するけれど、彼は司教様に赦されたことで神からも赦されて聖者になり得たのだろうか。

バルジャンもジャベールも他者から罪の赦しを得たけれど、その赦しを受け入れることができたかどうかがこの二人の違いなんだよね。
ジャベールは人を赦すことができなかったから、人から赦された自分を受け入れることができなかった。
レミゼラブルという物語に触れると『罪を憎んで人を憎まず』という言葉がとても重く感じる。ジャベールも若い時に司教様のような人に出会えていたら何かが変わったのかもしれません。

司教様の慈愛の心はバルジャンに受け継がれ、バルジャンはファンテーヌの愛によってコゼットを託されて、バルジャンの愛を受けて育ったコゼットはマリウスを愛して、エポニーヌの慈愛の心に救われたマリウスと一緒に次代に愛を繋いでいく。亡くなっていったたくさんの人たちの想いも一緒に。



◎相葉アンジョに惚れた

惚れた。

聞くところによると前回のばっちアンジョは革命なんて成功しなそうな雰囲気だったらしい。
前回公演でどのアンジョを見たのか全く記憶にない(最低)のだが、とにかく今回ばっちアンジョがめちゃめちゃ良かったんだよね!
男が付いていきたいと思わせるような人を惹きつけるカリスマ性があって、革命への強い意志と成し遂げようとする力も確かにあるのに、ちょっとしたきっかけで綻びが生じてしまいそうな儚さもあって、完璧すぎないところが皆を惹きつけるのだろうなと思った。



◎めぐファンテ、っょぃ


っょぃ


2幕後半以降のエルファバみがあった。
コゼットへの愛や母性は充分すぎるほど感じられるし泣けるのだけど、工場長に目を付けられそうにないし、仮につけられたとしても他の女たちから虐められなさそう。
前回ラブネバクリスで観たときは音域あまり合ってなくてもったいないなあと感じたのだけど、ファンテーヌは歌を聴かせるだけなら最高でした。


◎ふうかエポ、かわいい

ふうかちゃんが報われるミュージカルが見たいな?(アリス???)

ふうかエポはマリウスへの一途で一生懸命な恋に苦しむ等身大の少女かと思いきや、意外に自分の立場を理解して彼を支え続けることを誓う大人びた雰囲気さえ漂うエポニーヌでした。

ていうかかわいい。

マリウスの腕の中で死んでいくときの今まで彼女が味わってきた哀しみも彼を想い続けることの辛さも全て掻き消えてしまうかのような喜びさえ感じているかのような笑顔に泣けてしまった。本当に純粋なエポニーヌで、マリウスを救って彼に抱きしめてもらえることがただただ幸せだったのだと思う。
だからこそその後のマリウスの「暗い人生 でも勇気があった」がめちゃめちゃムカつく。笑。
マリウスって本当に空気読めねーよな!!!





ここから余談

ところでマリコゼってぶつかっただけで一目惚れして、その後何のエピソードもなく愛を語らい始めちゃうのがどうも私には受け入れられず、もちろんロミジュリやWSSも同じなのだけれど、運命と呼ぶにしてももう少し上手く表現はできないものなの?と毎回思ってしまう。
一目惚れはするものの、その後にデート→兵士に追いかけられて一緒に逃げる→お互いに共感する→住む世界の違いを知る→一旦別れる→相手が死んだと思う→再会→誤解されて怒らせる→仲直り→デート
というわりと濃密なエピソードを踏まえて初めて結ばれる推しカップリングのせいでミュージカル界の運命的出会いを果たす全カップルが浮付いた存在に見えるようになってしまった。推しCPの罪は重い。